商社マンになろうとしたがなれずに現在に至っています

「商社」のイメージ

「商社」と聞くと、一般的にはどのようなイメージが湧くでしょうか?

商社を辞書で調べてみると、

輸出入貿易ならびに国内における物資の販売の業務の中心にした商業を営む会社のことを指す

とあります。

また取扱いする物資の範囲からも分類され、幅広い商品・サービスを突扱う総合的な会社と、特定の分野に特化した専門的な会社に区分されるとのことです。

貿易にかかわる仕事をしていると聞くと、やはり「海外」とか「出張」「語学に堪能」というイメージが強く、グローバルに活躍する人材を数多く有する大規模な会社というイメージがどうしても強くなります。

また、商事会社と聞くと、歴史好きの私としては坂本龍馬をすぐに思い出します。

なぜかといいますと、坂本龍馬が興したとされる組織である「海援隊」は日本最初の商事会社と呼ばれているからなのです。

先進的な振る舞いをした坂本龍馬であるからこそ、世界を股にかけたというイメージが鮮烈な形で脳裏に焼き付いているのです。

もうひとつは少年時代に焼き付いた負のイメージがありまして、それはアメリカのロッキード社による大型ジェット機の納入工作において商事会社のルートが疑惑として取り上げられ国会にて証人喚問がなされた事件において特定の会社の名前が連日取り上げられたことによります。

私が、物心ついて間もなく発生したこの事件ですが、一大疑獄事件に発展し時の総理大臣が地検特捜部に逮捕されるという事態にまで発展しました。

また連日の国会中継で、大会社の社長さん達が国会に呼ばれたものの「記憶にない」との答弁を連発し、流行の言葉になったことが記憶から消すことができないのです。

子供心に、国と国との間にはアンタッチャブルな面はあるもので、そういった表にできない仕事を会社としてはやらざるを得ないという風に理解せざるを得ませんでした。

世の中には必要悪というものが存在していて、甘んじて必要悪というものをやらざるを得ない人たちがいて、よくわからないけど、頑張っている人たちがいて、この国は成り立っているのではないかと心に思いこんだものでした。

商事会社を目指した結果…

高校生になりますと、英語が得意だったこともあり、将来の展望として商事会社に就職し海外を又にかけて活躍してみたい、と思うようになりました。

英語は本当に得意で、英語の得点は当時在籍していた高校の中でもトップクラスなのでしたが、残念ながら大学受験では現役の年は失敗してしまいましたが、浪人時代は英語にさらに磨きをかけることで、名の通った有名私立大学に晴れて合格することができたのです。

時はバブル真っ只中で、大学を卒業するころには、就職戦線は超売り手市場だったのです。

就職内定は3~4箇所からもらうことは当たり前の時代でした。

商事会社に就職するという夢は捨てていませんせんでしたが、最初の就職面接で小手調べの意味で受験した、とある専門商事会社の就職試験で落ちてしまったのです。

これは少なからずショックでした。

商事会社であれば専門商事会社でも総合商事会社でも変わりはないと思っていたのですが、比較的優しいと云われていた専門商事商社に落ちてしまったことは、バブル期でも真剣に就職活動に取り組まないと大変なことになるのだということを教えてくれた気がします。

(結論からいって、その専門商事は後に倒産の憂き目に合ってしまうのです。合格していたら入社する気でいたので受からずに良かったと思っています。)

「物売り」としての商事会社

結果的に就職先として選択したのは第二志望でもあった銀行でした。

銀行では融資業務に携わるケースが多く、色々な業種の方々と付き合いをさせていただきました。

長い間、銀行で頑張ることができたのですが、中途退職し現在は製造業の総務担当として働いています。

製造業で総務部門に携わりますと、機械設備の購入、材料の仕入という面において国内商事会社と付き合うようになってきました。

銀行で得た知識をフルに活用することで、商事会社に勤務する方々のリスクヘッジの考え方がわかるようになってきたのです。

銀行に勤めていた時も、取引先企業に対し融資の枠を設定していて、枠の中で融資を運用していたのですが、商社に於いても材料購入先に対して取引枠を設定し、その枠の中で取引を継続しようとしています。

要は一社だけ突出した取引高になってしまうとリスク大になってしまうので、できるだけ枠内での取引に収めるようにしますし、枠が出るようであれば保証金を入れてもらうであるとか、担保を差し入れてもらうとかの保全行為を行うということが一般的なのです。

商事会社とは簡単にいってしまえば「物売り」です。

物品を調達し必要なところに流すという局面で利益が生じ、そのことの故に商売が成り立つという職種なのです。

仕入れにあたってはできるだけ安い価格での仕入れに徹し、販売にあたってはできるだけ高い価格で売ろうとします。

最終更新日 2025年5月20日